損益分岐点、理解せずに経営すると・・・
損益分岐点とは、その売上げを境に黒字になっていくという指標です。
その売上げより下回れば赤字、上回れば黒字となります。
例えば、家計で言うと、月に15万の収入があれば、最低限の生活できるとします。その15万円がお店や企業でいう所の損益分岐点の売上となります。月に20万の収入で、最低限の生活をすれば、月に5万円の貯金ができるという事になります。その5万円がお店や企業でいう所の利益となります。
損益分岐点売上の求め方
損益分岐点売上を求める前に、損益計算書についてのおさらいです。
損益計算書の項目としては、以下の通りです。※営業利益の後にも項目がありますが、ここでは省略致します。
①売上げ(客数×客単価)
②原価(食材や酒類)
③売上総利益(粗利益)=①-②
④販売費及び一般管理費(人件費、水道光熱費や家賃など)
⑤営業利益(店舗で稼いだ金額)=③-④
損益分岐点売上を求める場合、費用の項目を「変動費」と「固定費」に分解します。
変動費とは?
変動費の代表的なものは、原価となります。こちらは食材など、売上高が比例して増加するものとなります。
例えば、仕入単価30円 売上単価100円 原価率30%
仕入を50個すれば、30円×50個=1500円
全部売れる前提として、100円×50個=5000円
売上を増やそうとすれば、多く仕入れることになり、売上の増加に伴い、仕入もそれに変動して増加するため、変動費と区分されます。
固定費とは?
固定費の代表的なものは、家賃となります。こちらは売上げがゼロでも支払わなければいけないものです。
万が一、1ヶ月間の営業停止となったとしても、家賃の支払いはしないといけません。
限界利益(貢献利益)とは?
変動費と固定費に区分した場合の損益計算書は、下記の項目となります。
①売上げ(客数×客単価)
②変動費(代表的なもの:原価)
③限界利益(貢献利益)=①-②
④固定費(家賃など)
⑤営業利益=③-④
固定費をまかなって、経営を持続していくため最低限界の利益という感じで限界利益
固定費を上回ると、その分が利益になるので、企業に貢献するという感じで貢献利益
それぞれ呼び名はありますが、特に、覚えなくても構いません。
変動費と固定費に区分した場合は、そのように定義していると感じです。
四則演算が出来れば十分
足し算・引き算・掛け算・ 割り算という四則演算ができれば、損益分岐点は簡単に求められます。
数式としては、固定費÷限界利益率=損益分岐点売上 となります。
変動費率は、飲食店で言えば、適正原価率です。
限界利益率は、100%から適正原価率を引いたものです。
適正原価率を30%、固定費の総額を90万だとします。
その場合の損益分岐点は、固定費90万÷貢献利益率70%=損益分岐点売上 約129万
①売上げ 129万(100%)
②変動費 38.7万(30%)
③限界利益 90.3万(70%)
④固定費 90万
⑤営業利益 0.3万
上記のように、固定費が90万で、変動費率が30%のお店だと、最低限129万の売上げをあげれば、赤字にならず、事業を継続できるトントンのラインだという事が分かります。
客単価2500円だとすれば、129万÷2500円=516人の集客が必要という計算になります。一日あたり約17名の集客できれば、理論上は、運営できる形となります。
このように数値を分解して捉える事で、どういう戦略をとるか、どういうコンセプトで運営するかなど、経営判断の材料として使うことができます。
損益分岐点は、正確に細かく数値を出す必要はありません。大体これぐらいの数値というのが分かればいいので、
例えば、固定費の項目で、水道光熱費などは、厳密に言えば、売上高に変動する部分もありますが、そこまで大きく変動するものでないので、固定費に含めて試算しても、特段の問題はないかと思います。
損益分岐点は、出店、退店の判断にも使える指標なので、覚えておいて損はない指標となります。